食品には、栄養に係る一次機能と、味覚や嗅覚等の感覚に訴える二次機能があり、消費者が食品を選ぶ際の拠り所になっている。また、毎日の食事が健康に影響を与えることは明らかであり、バランスの悪い食生活が、運動不足やストレスと相まって、生活習慣病の引き金になることは良く知られている。
昭和59年からの3年間、文部省の特定研究として、「食品機能の系統的解析と展開」が行われ、その中で、食品の持つ健康維持機能や疾病予防等の体調調節機能が、食品の三次機能として提唱された。そして、効果が期待できるように機能性成分を配合した食品を称して「機能性食品」と呼ぶようになった。その後、「食と健康」への関心が高まる中、血圧降下作用や血糖値上昇抑制作用、抗酸化作用、抗肥満作用、抗アレルギー作用など様々な機能を持った食品素材が開発された。しかし、効果が期待できる商品であっても、現実的には薬事法の壁があり、疾病の予防、治療、回復効果等を謳って販売することはできない。
昭和60年、予防医学の観点から機能性食品の市場導入を発表した厚生省は、有識者や各団体との検討会を経て、平成3年に新しい表示制度をスタートさせた(次項参照)。この制度により、安全性や効果等に関する科学的な根拠を示して許可を得れば、一定の健康強調表示ができるようになった。しかし「機能性食品」という言葉は、土壇場で「特定保健用食品」という法律用語に変わった。
従って、現在、「機能性食品」に法律的な定義はなく、いわゆる健康食品、健康補助食品、栄養補助食品、サプリメント等と同義である。あくまで食品であることを踏まえ、誇大広告や不確かな健康情報に惑わされることなく、自分自身で判断して適切に摂取することが肝要であろう。
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