「トクホ」は、平成3年9月1日に制度化された「特定保健用食品」の通称で、厚生省の認可を受け、商品に健康機能表示が許された食品である。健康機能表示としては、「お腹の調子を整える」、「血圧が高めの方に」、「体に脂肪が付きにくい」等の表現が認められている。食品形態は、当初、明らかに食品と判断出来るものに限られ、錠剤やカプセル等の医薬品的な形態は認められなかった。
平成13年、省庁再編により厚生労働省が発足した後、新しく「保健機能食品」制度が施行された。この中に、従来の「特定保健用食品」に加えて、個別審査の必要がない「栄養機能食品」が新設された。栄養機能食品は、ビタミン・ミネラルについて一定の規格基準を満たしていれば、「Caは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。」、「ビタミンAは、夜間の視力の維持を助ける栄養素です。」等の栄養機能表示をすることができる。また、この時期に国際協調の一貫として薬事法の一部見直しがあり、錠剤・カプセル等の剤型も食品として認められるようになった。
平成17年5月までにトクホを取得した商品は500品目を超え、市場規模は5000億円以上と言われているが、一般への認知度はまだ高いとはいえない。問題点として、有効成分を特定して作用機序を解明し、実証には医薬品並みの臨床試験が必要であるなど、許可取得までに多大なコストが掛かることが指摘されている。更に、審査基準も年々厳しくなる傾向にあり、トクホの大半は、大手食品メーカーで占められているのが現状である。
これらの問題点を踏まえて、本年、「条件付きトクホ」及び「規格基準型トクホ」が導入されることになった。「条件付きトクホ」は、許可要件が若干緩く、一定の有効性が実証されていれば、表示に「根拠が確立されていない旨」の条件をつけることで認められる。また、「規格基準型トクホ」は、トクホの許可実績が十分ある成分について基準値を設定したもので、該当する食品はヒト試験が大幅に免除される等のメリットがある。
海洋深層水の機能を謳えるトクホは未だないが、乳果オリゴ糖で便通改善機能を持たせたトクホ飲料や、食物繊維を用いて血糖値が気になる人向けに開発されたトクホ飲料に海洋深層水が配合された例がある。
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