脱塩・製塩技術 (desalting technology,salt manufacture technology)
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 脱塩とは、広義には、水溶液やオイルなどに含まれている各種の塩分(ミネラル分)を除去するプロセスをいうが、一般的には、水溶液からの塩類の除去をいう。海水(深層水を含む)から、塩分を除く方法も含まれる。
 海水から脱塩する場合、古くには「蒸留法」や特殊な濾材を用いる「濾過法」も行われていたが、近年は、「膜による方法」が主流となっている。膜としては、除去したい成分によって、(1)イオン交換膜、(2)逆浸透膜等が使用されている。 希薄な水溶液からの塩分除去には、イオン交換樹脂と電気透析が併用される場合も多い。
 製塩とは、言うに及ばず、塩を製造するプロセスをいう。製塩法には、有史以前からの長い歴史があり、ここで全てを解説する紙面はないほどである。
 塩(しお)は、「岩塩」と「海塩」に大別される。海塩はさらに、「天然塩」と「化学塩」とに分類される。ちなみに世界の塩生産量の大半は、岩塩と、天日塩(海水を塩田に導いて、日と風で濃縮させたあと、固体塩として析出させたもの)である。
一方、我が国の製塩法は、上記のような世界の状況とはかなり異なっている。いわゆる「JT塩」と呼ばれるイオン塩が、国内産塩の主流となっている。イオン交換膜を用いた電気透析法、即ち海水を陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を併用した電気透析膜システムで濃縮し、次いで、従来からの製塩技術である蒸発工程を経て、塩を析出・単離させる方法である。
 だだし、上記の膜法による製塩では、純NaClに近い塩が得られ、マグネシウムやその他微量ミネラル分が除去されてしまうため、味や機能面から、またヒトの健康面からも従来の天然塩が強く望まれ、「天日塩」などの自然塩が、食用塩として好まれて多用されているのが現状である。
 海洋深層水からの塩も、この分野での強いニーズ感に支えられていると言えよう。
 
( 文責:中島 宏  第4巻、第2号、2000年)
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