【授与対象および選考理由】
黄 秉益(探索水産科技株式会社(台湾) 技術長)
「海洋深層水資源の利用技術開発とその事業化」
黄秉益氏は、2008年に高知大学で給餌型魚類養殖の際の水質悪化を藻類と濾過捕食性有用動物を利用して軽減することを提案し、学術博士を取得した後、日本国内で研究者として海洋深層水の資源性とその利用への関心を深め、その後、台湾の(財)石材・ 資源産業研究発展センターが海洋深層水の資源利用のために新設した水資源グループの研究員として活躍された。なかでも、台湾国内の複数の大学の専門研究者を巻き込んで、海洋深層水の基礎研究をはじめ、幅広い資源利用分野内容で研究・技術開発の精力的な推進は高く評価される。特に、海洋深層水の資源性や取水問題などと、養殖・健康・ 薬理分野での研究と技術開発に取り組み、格段の業績を上げている。これまでの活躍は、10編の論文並びに20編の学会発表要旨と、関係した22件の海洋深層水関連プロジェクトをはじめ、取得された特許の一部が事業化にも至っている。
黄氏のもう一つの功績は、台湾の海洋深層水研究の社会的土台づくりへの貢献である。これは日本の海洋深層水研究と事業化にも大きな影響を与えている。黄氏は日本の研究者や事業家と海洋深層水利用学会との連携強化をはかり、2013年海洋深層水利用学会全国大会の台湾での開催を実現した。本大会の成功とともに、台湾での海洋深層水の社会的関心の高さが高まり,2014年に台湾深層海水利用学会が設立され,黄氏は初代事務局長に就任されている。
以上のように、黄秉益氏のこれまでの活躍と業績は、本学学会賞に十二分に値するものを評価した。
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