学会賞2018年度
海洋深層水利用学会2018年度学会賞 決定
  海洋深層水利用学会2018年度学会賞が下記の通り決定し、研究発表会(韓国大会)に合わせて、2018年10月18日に表彰式が行われました。
 
【授与対象および選考理由】
  1. 大内 一之 氏(株式会社大内海洋コンサルタント)
    「海洋深層水による海域肥沃化のための洋上取水装置の開発と海洋深層水の大規模活用技術」

    〈選考理由〉
     大内一之氏は,海洋深層水を日量10万トン汲み上げる海域肥沃化装置「拓海」の装置開発と実証実験を主導し、2003年5月から2008年7月まで現場実証実験を行い、深層水と表層水の混合水塊が密度流として生産層内を移動していく様子が1週間にわたって追跡され、海域肥沃化に決定的な初期段階が確認されるなど、優れた多くの成果を得ている。特に、大内氏が主導して開発した半没水型洋上浮体は、5年間の洋上での係留設置実験の間、台風の直撃2回を含め、たびたびの荒天でも損傷は皆無であったように、洋上での深層水大量取水装置として長期間にわたって堅牢で安定した全天候型取水性能を維持することが証明された。
     海洋での深層水と表層水の全天候型大量取水・放水装置の開発と、深層水の大規模活これらの研究成果は,一連の研究論文などで数多く公表されている。
     海洋での深層水と表層水の全天候型大量取水・放水装置の開発と、深層水の大規模活用技術の扉を開いた大内氏は、学会賞に十二分に値するものと評価した。
  2. 今田 千秋 氏(東京海洋大学)
    「海洋深層水の有効利用と有用微生物の探索と産業への応用」

    〈選考理由〉
     今田千秋氏は,これまでほとんど微生物の分離例がない海洋深層水に着目し、全国8か所の取水設備から海洋深層水とその表面海水を入手し、微生物の群集構造を遺伝子レベルで調べ、表面海水には存在しない独自の群集構造が海洋深層水に存在し、新たな微生物の分離源として大変有望であることを明らかにしている。 さらに、微生物数の極めて少ない海洋深層水をフィルターで大量濾過濃縮し、有用微生物の探索を行い、抗癌物質生産放線菌、酸化ストレス耐性物質生産海洋細菌、チロシナーゼインヒビター生産海洋性乳酸菌、 酸化ストレス耐性物質生産性海洋酵母など産業的に 有用な微生物の分離に成功し、各種培養細胞 に対する生物活性を明らかにしている。 これらの中には陸上に全く見られないユニークな性状を有する微生物、新種の微生物および新規物質生産微生物も数多く存在し、海洋深層水が新規有用微生物の宝庫であることを示すなど、多くの成果を得ている。これらの成果は,本学会やその他の学会誌で論文となり、また講演発表も多数行われている。
     海洋深層水の有効利用の推進として、有効微生物の探索と産業への応用に貢献された今田氏は、学会賞として十二分に値するものと評価した。
  3. 株式会社ポイントピュール
    「海洋深層水をベースにした機能性化粧品の開発と普及」

    〈選考理由〉
     (株)ポイントピュールは、海洋深層水の清浄性と機能性に着目し、海洋深層水を独自の方法で精製して化粧品原料水をつくりだし、その化粧品原料水100%に古くから美肌づくりによいとされる30種類の沖縄産植物エキスを調合して、独自の“機能性化粧品”の開発・製造に成功し、海洋深層水をベースとした機能性化粧品の普及に貢献した。さらに、開発した機能性化粧品に留まらず、他社の要求に応じた機能性化粧品を新たに開発製造して需要に積極的に応えてきている。会社設立後、16年間で、160社のODM((株)ポイントピュールが独自で製品開発)とOEM(相手先が製品の仕様と設計を依頼)の実績を上げている。
     なお、(株)ポイントピュールの海洋深層水をベースにした機能性化粧品の製造技術は、経済産業省が主催する「ものづくり日本大賞」の製造・生産プロセス部門の優秀賞など多くの賞を授賞するなど、産業界でも高く評価されている。
     以上、(株)ポイントピュールは、海洋深層水を化粧品原水に利用し、新規の機能性化粧品を開発して広く社会に利用を進め、海洋深層水の資源利用の新しい分野を開拓し、さらに海洋深層水という地域資源で地域活性化に貢献しており、その業績は、学会賞として十二分に値するものと評価した。

受賞者
左から、大道 敦 氏(株式会社ポイントピュール)、髙橋会長、今田 千秋 氏(東京海洋大学)、
大内 一之 氏(株式会社大内海洋コンサルタント)代理・實原 定幸 氏(株式会社ゼネシス)

   
海洋深層水利用学会2018年度特別功労賞
  海洋深層水利用学会2018年度特別功労賞として、下記の通り決定し、研究発表会(韓国大会)に合わせて、2018年10月18日に表彰式が行われました。
安 熙道(韓国海洋科学技術院)
「韓国における海洋深層水事業および学術分野の推進」

受賞者
左:高橋会長、右:安 熙道 氏(韓国海洋科学技術院)

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