学会賞 2014年度
海洋深層水利用学会2016年度学会賞 決定
  海洋深層水利用学会2016年度学会賞が下記の通り決定し、研究発表会(滑川大会)にあわせて2016/11/11に授賞式が行われました。
 
【授与対象および選考理由】
  1. 岡本 一利 氏(静岡県水産技術研究所)
    「水産生物,特に甲殻類の飼育における海洋深層水利用の有効性の立証とその利用推進」

    〈選考理由〉
    岡本一利氏は,静岡県水産技術研究所駿河湾深層水水産利用施設において,水産生物,特に甲殻類の飼育において海洋深層水の有効性を立証し,貴重な生物学的情報を得ると共に,その利用推進に貢献した.タカアシガニの生残率の向上や脱皮映像の記録,サクラエビの長期飼育の成功,アカザエビの孵化率や生残率向上などが成果としてあげられる.その他に,有用魚介類の飼育,海藻培養,飼育困難な深海魚類の飼育などにおいても,深層水の有効性を確認している.これらの研究成果は,一連の研究論文などで公表され,関連研究は9件の特許としても登録されている.また,地域と連携して深層水で飼育された有用水産生物の食材利用,事業化推進においても貢献している.さらに,同氏は本学会の理事,ニュースレター編集委員,研究発表企画委員として学会運営にも尽力されている.以上より,岡本氏は学会賞に十二分に値するものと評価した.なお,これまでの経験と静岡県という立場から,今後とも海洋深層水利用学会への貢献を大いに願う次第である.

    受賞者

  2. 浅川 良住 氏(マリンゴールド株式会社)
    赤穂化成株式会社
    竹内 啓晃 氏(高知大学医学部)
    「脱塩海洋深層水の飲料水利用とその健康維持増進作用の評価および医学応用」

    〈選考理由〉
    浅川良住氏・赤穂化成株式会社・竹内啓晃氏の3者は,海洋深層水の水とミネラルとしての資源及び清浄性の特性に着目して,脱塩海洋深層水の飲料水利用を発想して事業化し,さらにその健康維持増進作用を検証し,一部においては医学的応用までに発展させている.浅川良住氏は,1995年に世界初の海洋深層水の飲用水利用を行い,高知県室戸沖の海洋深層水を逆浸透膜処理で脱塩し,得られた軟水をマリンゴールドという商品名で販売した.また,赤穂化成株式会社は,逆浸透膜処理した深層水に,自社技術で抽出したミネラル成分を添加して高硬度硬水を作り,健康維持増進飲料水として販売した.さらに,竹内啓晃氏は,高齢者を対象とした高硬度硬水の長期飲水の臨床試験により,降圧,免疫活性化,血流亢進,整腸,貧血改善,アレルギー改善などの作用・効果を確認すると共に,試験において有害事象が皆無であったことを認めている.これらの成果は,本学会やその他の学会誌で論文となり,また講演発表も多数行われている.このように,3者は海洋深層水の飲料水利用へ道を開き,海洋深層水利用において大きな可能性を引き出し,同時に安全で持続性の高い社会作りへの多大な貢献の可能性を示したものであり,学会賞として十二分に値するものと評価した.

    受賞者

  3. 深層水体験施設タラソピア(富山県滑川市)
    バーデハウス久米島(久米島海洋深層水協議会)
    シレストむろと(高知県室戸市)
    新村 哲夫 氏(富山大学大学院医学薬学研究部)
    「海洋深層水の温浴施設への利用とその健康影響の評価と普及」

    〈選考理由〉
    海洋深層水は表層水と比べて溶存有機物濃度が低いため,表層海水のようなべとつき感が無く,シャワーで洗い流す必要がないために,海洋療法のより高い効果が期待される.この特性を活用して,深層水体験施設タラソピアは,1998年に世界初の100%海洋深層水を利用した温浴施設としてオープンし,その後の普及・発展への引金役となった.2004年には沖縄県久米島でバーデハウス久米島,さらに2006年には高知県室戸市においてバーデハウスむろと(その後,2009年にシレストむろとに名称変更)がオープンした.現在までに,深層水100%利用の温浴施設は全国に6施設を数え,その他,風呂施設への利用は全国に数多い.新村哲夫氏は,タラソピアの開設初期から,海洋深層水の温浴効果を科学的に検証し,学会などに数多く報告している.例として,海洋深層水による温熱効果,睡眠効果,筋肉リラックス・精神的リフレッシュ効果,歩行浴による効率的な運動療法などや,血液性状の改善などの確認が挙げられる.これらの成果は,本学会やその他の学会誌で論文となり,また講演発表も多数行われている.以上より,学会賞として十二分に値するものと評価した.

受賞者

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